聴覚障害と就労を考える
聴覚障害には、伝音難聴、感音難聴、伝音難聴と感音難聴の両方を併せ持つ混合難聴の3種類があります。
伝音難聴は常に耳栓をしているような状態で、音が聞こえにくくなるのが特徴です。中耳炎など医学的治療で改善するものも多くあります。
感音難聴は「音」だけでなく「言葉」も聞こえづらくなるのが特徴です。加齢のために起こる老人性難聴は感音難聴のことをいいます。
全く聞こえない方もいれば聞こえづらい方もいて、障害の程度や状態によって様々な生活上の不自由さがあります。
●主な特性と配慮のポイント
外見からわかりにくいため、声をかけたのに返事をせず無視されたと誤解されることもある。発声・発語できる人もいるが、そのために聴覚障害がない、聞こえていると誤解されることがある。
発声・発語が困難な人は、音声以外の方法を使う必要がある。
音声の代わりに文字や図などで情報を提供すると、視覚から情報が得られる。
音声での会話以外に、手話、要約筆記、触手話、指点字、筆談、キュードスピーチなどの方法がある。複数を併用する場合もあるが、人によって利用できる方法は異なるため、障害のある人が複数いる場合にもお互いのコミュニケーションが行えるよう留意する必要がある。
難聴者では、補聴器や人工内耳を利用して聴力を補う人もいる。音としては聞こえていても言葉として認識できないこともあるので、内容が伝わっているか確認するよう配慮する。軽度の難聴では、静かな場所では聞き取れても、騒がしい場所ではまったく聞き取れなくなることもある。
読話が必要な人には、顔を近づけすぎず口の形が見やすい距離を確保する。
補聴器を使っている人には、近づいて、正面から普通の大きさの声で話しかける。3メートル以上離れると補聴器は音を拾わなくなる。
片耳が聞こえにくい人には、正面か、聞こえる側から話しかける。相手が気づくような合図をしてから話しかけるとよい。
聴覚障害のある人のコミュニケーション手段
各手段の詳しい説明や利用方法などは、別冊(障害のある人に対する情報保障のためのハンドブック)に掲載します。
手話
手指の動き(指さしを含む)や表情などを使って概念や意思を視覚的に表現する視覚言語です。ろう者は、手話を言語として日常生活を送っています。
手話は音声言語(日本語など)とは異なる言語体系を持ちます。五十音、数字、アルファベットなど、音声言語の文字そのものを表現する場合には、手指の形や動きで表現する指文字が使われます。
手話通訳者は、手話と音声言語の両言語間を通訳し、それぞれを使う人の間でのコミュニケーションの橋渡しをします。手話通訳者を介してろう者と対話をする場合には、対話の相手であるろう者本人を見て話します。
要約筆記
音声で聞きとった話を要約し、紙やパソコンで文字に書き表して聴覚障害のある人に伝える方法です。個人に紙で伝えるノートテイクと、プロジェクタで紙やパソコン画面を投影する全体投影とがあります。
筆談
紙と筆記具や筆談具、タブレット端末などを利用して、互いに文字を書いてコミュニケーションを行う方法です。
読話・口話
読話は、話し手の唇の動きや表情から状況を推測して話の内容を読み取る方法です。読話と、訓練により音声で話せるようになる発語を用いてコミュニケーションを行う方法を口話といいます。読話は集中力を必要とするため極度の精神的疲労を伴い、また確実さにも個人差があります。
そのほかに、母音の口形とともに手指のサインで文字を表現するキュードスピーチが、口話を補助する方法として使われることがあります。
(出所:千葉県 所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室)
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