IBDと就労を考える archive

こちらは、難病患者就職サポーターのときに、労働局・厚生労働省の許可をえて、手帳を取得されていない難病患者の就労支援事例として、日本ではじめてIBD患者の事例として発表したものになります。

就労のご相談の場面では、実際の職種は多岐にわたりましたが、

残業が多い
夜勤があり、不規則勤務である
人や移動、業務により拘束性が高まり、ゆえに排泄に行きにくくなる
対人ストレス

ストレスにおいては実際には様々な物事がストレッサーになるため、仕事量・勤務時間・成果やノルマ・拘束性・通勤距離など、ストレス化しやすい要素がありますが、
個人差があるのも実際であります。

どの職種というよりも、そうしたストレス要因、その中でも、拘束性と業務、に関しては、転職、就活の際、職業・職種選択は、話し合いながら、絞りむ、業務特性により起こるやすいストレスに関しては、初期の段階で折り込んみながら探すことを、職業選択の初期設定とお話しておりました。


「みなさんはどんな仕事につかれるのでしょう」そうした質問は、ご相談の最初にうかがう、一番知りたいこと、
の上位3番以内に入るほど、みなさまの関心ごとでした。
ちなみに、1番多くたくさん説明をさせていただいた質問は、
病気の開示・非開示について、
そのメリット・デメリットでした。

そこから展開するお話は、
ご自分が、これからの就活の際、病気を伝えたほうがいいのか、そうでないのか。というお話でした。

開示・非開示については、
その方の体調や病状、および、これでの就労体験により、メリット・デメリットの意味が異なってくる傾向があり、

体調が安定している方々が、病気を開示して就労する意味や価値がどのくらいあり、
ご本人がその意義を感じていらっしゃるか、

やはり、通院や治療をしていることを事業者に伝えながらの就労の場合は、職業・職種等との兼ね合いも出てくる場合もあり、雇用形態にも影響がある場合もあります。
しかし、病気を開示しながら、正社員で就職したIBD患者の方々がいることも事実です。

その際、
病気の開示・非開示に関しては、
開示をしながら就労をするやり方を知っていただく必要があり、
また、治療と仕事の両立をしながら働く人の雇用に関心を持たない業界や職種等は、採用率は著しく低下いたします。
求める配慮と、職業・職種の作業特性がマッチしない場合や、安全配慮上の懸念など、あるいは、そもそも採用選考において、倍率が相当に高い。
事業者は、選考を受けるあたな以外に、選考を受ける10人、あるいは20人、誰しもがいい求人だと思う求人の場合は、30人や40人、それ以上という場合があり、新卒採用では、1000倍以上の企業もありますが、
どういうルールで、採用選考が行われ、事業者が、どういう説明や、書類の準備により、病気を開示しても採用しているか、

職業体験により、病気を非開示にして働き、嫌な思いを散々された方々は、ご相談の際、最初から、病気の開示をのぞまれていました。

病気の部分ではない、周辺に、就活のヒントが隠れています。

私がハローワークで難病患者の就労支援、ご相談をはじめたとき、
まわりの職員は、真面目な方々ですが、
難病患者の就労に関しては、「病気を開示して働くのは難しいね」という意見が多く、難病患者の方々からは、ハローワークで、病気を非開示にすることをすすめられた、とおっしゃる方々にも、着任後2〜3年は時々出会いました。
しかし、
病気を開示しながら、就職される方々が日に日に増えていくのを実際に目にされた同僚やスタッフの言動は変わっていき、

「就職できると思っていたんだよね」と、言ってくださる職員、にこやかに話しかけてくれるスタッフが増えていきました。


IBD患者の方々の中でも、軽症から重症の方々まで幅広く、どの状況で働かれているかにより、就活に違いがございます。
福祉的就労、障害者雇用、一般雇用の正規・非正規、
非常に幅広なため、就活の話も本来は、対象の方をわけてお話をさせていただいたほうが、聞かれる方々もいいのでは、と思いますが、その情報が必要か必要でないか、その価値がまだ伝えきれていない段階でもあり、今はあちこちでお話をさせていただいています。



▼20代から40代の炎症性腸疾患(IBD)患者を対象としたアンケート調査(2016)

就労率は平均74.5%、国民生活基礎調査と差がないことが明らかになった。ただし難病相談・支援センターの周知率は2割と低かった。7月9日から10日まで京都市で開催された第7回日本炎症性腸疾患学会学術集会で、福岡大学筑紫病院看護部・外来の笠美和氏らが発表した。

(日経メディカルhttps://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201607/547558.html)



▼就業率

クローン病 65.4%

潰瘍性大腸炎 61.6%   

(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター「難病のある人の雇用管理の課題と雇用支援のあり方に関する研究」2011)


▼直近10年間に病気が理由で1ヵ月以上の休業・休職をしたIBD患者の割合

クローン病 67.1%

潰瘍性大腸炎 46.8%

▼直近10年間に病気が理由で離職した経験があるIBD患者割合 25%以上

(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター「難病の症状の程度に応じた就労困難性の実態及び就労支援のあり方に関する研究」2015)






今後は、患者コミュニティの皆様と、より、当事者の皆様の体験・経験を加味し、
事業者のインタビューなども実施しながら、
働きやすくなるツールや冊子等の開発、事業者には、採用や就労継続のための、社内研修や勉強会、ワークショップ等の開催など、ノウハウを活用し、お役にたてればと考えております。



IBD患者の方々の就労について触れている資料では、多くは、実際の就活の場面では、少々情報量が不足して感じます。

それは、多くが研究者の報告をそのまま引用されているケースが多くなるため、労働の生態系の変化の中では、事業者側や労働市場の情報を加味しながらの情報でない場合、医療や研究、福祉的な視点目線では、死角が生まれてしまいかねません。その情報だけで就活や就労継続がうまくいかない・・大変な想いをするのは当事者・・という様子は、労働行政の中で実際の事業者の声をうかがい、IBD患者の就労、就活の場面をお手伝いさせていただく中で、散見した様子でもありました。いかに使える情報にアップデートしていけるか、

労働と医療と、福祉、医療、ここでは、統計や実際の支援体験からの事例、当事者の皆さんのインタビューやアンケート、経験なども含みつつ、アップデートをしながら、アーカイブし、実践的に役立つ情報の配信を目指して配信、更新してまいりたいと思います。


9.12

Gケア様とのコラボによるIBD患者の皆さまとワークショップを開催させていただきました。今後は、当事者の皆様からの情報やデータを整理しながら、より実際的な情報発信を目指して取り組んで参りたいと思います。



IBD(Inflammatory Bowel Disease=炎症性腸疾患)とは

IBD(Inflammatory Bowel Disease=炎症性腸疾患)

潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis)

クローン病(Crohn’s Disease)

それぞれ大腸、 または大腸及び小腸に認められる難治性の慢性の腸炎。潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)はともに、難病法における指定難病に認定されている。


●就業率 (データが2011年、実際には、IBD患者の就労事例や、報告も私も事例発表を行い、平成25年からは、難病患者就職サポーターの窓口相談でもでき、難病患者の就職者も年々増加しています。相談者が一番多かったも、IBD患者でした。)

クローン病 65.4%(2011) → 20代から40代のIBD患者を対象としたアンケート調査により、就労率が74.5%という報告があります。(2016年 第7回日本炎症性腸疾患学会学術集会での福岡大学筑紫病院の報告)

潰瘍性大腸炎 46.8% (2011)→

(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター 「難病のある人の雇用管理の課題と雇用支援の在り方に関する研究」20⒒


IBD患者の約30%が病気のことを会社に伝えないで就労されています。→ 調査中


★就労している職種の具体例(比較的多い職種 「難病のある人の就労支援のために」(2016))

潰瘍性大腸炎

手帳取得者

・一般事務(医療事務・電話対応事務処理)40%

・専門・技術職(看護師、安全衛生管理)20%

・一般事務以外の様々な事務職、人材派遣業  10%

・保安職(夜間警備員) 10%

手帳非取得者

・一般事務 17.4%

その他様々は専門・技術職(研究職・臨床心理士)様々な事務職

クローン病

手帳取得者:

・一般事務 17.4%

・一般事務以外の様々な事務職(税務申告・内部監査サポート)10.1%

・その他 情報処理・通信技術者(SE・ソフトウェア開発)その他専門職(

ジムトレーナー・不動産鑑定士)等

手帳非取得者

・一般事務職 14.7%

・そのほか 専門職 (研究者・臨床心理士)事務職等

【ONEの説明】

IBD患者の方々の場合、製造業、介護現場職員、総務、事務職、クリーンセンター職員、専門職、WEBデザインナー・社会保険労務士、弁護士、医師、看護師、公務員、SE、製造業、農業、と実際には幅広いと感じますが、その疾患特性・変動性への拘束、拘束性が、人的・仕事の性質上高まる場合は、就労継続性への影響がでてくるケースが多くあり、

①職場の理解 ②排泄等環境要因 ③対人サービスや、システムやラインをとめられないことによる拘束性の増強要因 など、職種の作業特性が就業ストレスと関連性が高いため、知職業選択、その初期設定の重要さを就労支援の現場では実感するところです。

Pointは拘束性、それを補う体制が可能か、職種ではなく、自分で調整がある程度可能になるか、その裁量権、セルフマネジメント、コントールのしやすさへの影響因子が重要になってくると考えられます。



 





★就労系福祉サービス事業所の難病のある人の利用状況

難病患者の利用は16%(うち、潰瘍性大腸炎の患者の利用率は全体の3.5%・クローン病も3.5%、難病患者Bで利用が多い疾患は、脊髄小脳変性症、次いで網膜色素変性症、利用していないは83%の事業者回答)(平成25年厚生科学研究 「難病のある人の福祉サービス活用による就労支援についての研究 福祉系就労支援研究班 深津班」

うち

・利用相談がない 91% ・人的、整備的体制がない 2% ・医療ケアの頻度が高い 2%

【ONEの解釈】

現場での実感としては、事業者が難病患者の利用がはじまった当初、利用できることへの認識がないケース、チラシやリーフレットなどにも難病患者が利用できる記載ない、など、しばらく持続していました。一億総活躍国民会議に参加した際、難病患者の就労の拡充について、大臣にお話をさせていただきましたが、そのとき参加された就労移行支援事業所のリーフレットにさえ、難病患者が利用対象である記載は当時はありませんでした。

が、会議後、記載が入りました。

利用者もしらない、事業者もよくわからない、実際には労働行政の現場の支援者、相談窓口の職員も福祉サービスについてよくわからない時期というがあり、そういう情報をだれが、どのように伝えていくのか、については、情報の発信の仕方・熱量・制度・その仕組み全体の構造、建付けがしっかりとしているのか、など、様々な要素が関係してくると感じます。

就労移行支援事業所の場合、障害者手帳を取得していない、できない患者も、障害者総合支援法361疾患の対象に入ると、障害福祉サービスは一般的に利用できるため通所する方がみえますが、就活の際、一般雇用になるため、その開拓、就活において、事業所にノウハウがあまりない、ほとんどないケースがあり長く利用する難病患者が、就活のタイミングがおくれたり、結果就労継続し年A型の就労に移行していくなどが起こりるため、今後は、一般雇用の開拓、理解の周知・啓発等、労働行政・厚生労働省の取り組み、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センターによる支援者研修「難病患者の就労支援」のプログラムが広く支援関係者に提供されること、がより重要な段階に入ってきているだろうことを実感いたします。

その先の就労の道筋がでがける、そんな仕組を、官民、福祉事業者、一緒に耕していければとONEは考えます。

2020年9月時点、就労移行支援事業所に通う難病患者の方より、ご相談をいただきます、その際に、就労移行支援事業所を履歴書のなかで、どのように記載するか、合理的配慮について、採用選考の際に、どのように理解し、事業者に何をどこまでつたえるかにおいて、障害者雇用のモデルで就活にとりくんでいるケースが散見され、故に、一般雇用のルールや一般通念でかんがえた場合、難しくなる、どのようにサポートをするかにおいては、研修が現時点ではなく、そいいった情報も研究者ベースでは発信がされていません。

そうした就労支援をどのように共有し、支援体制を整えていくのか、情報発信や、支援機関との連携により、就労系福祉サービスを利用する難病患者の就労困難性が低下し、スムーズにできるけいくように、協働体制等ネットワークに取り組んでゆければと思います。





●身体障碍者手帳交付

オストメイトは障害等級に該当する場合、身体障碍者手帳を取得することができます。

対象:永久ストーマに限る

申請時期:ストーマ造設後、すぐに申請ができます。

該当する等級:主に4級、合併する障害等により3級なども。

潰瘍性大腸炎患者の身体障害者手帳の取得率は3%(特定疾患治療研究事業 56疾患でみると、身体障害者手帳の取得割合は21%疾患別でみると、もっとも高い亜急性硬化性全脳炎(SSPE)87.5%、取得率には大きな差がある。今後、あたらしいデータなどにより、時間的な比較をしてみます  出典  特定疾患調査解析システム (2011))


●医療費助成制度

申請と医療費助成までの流れ

①医療機関で受診・検査 → ②診断確定→③申請書類の作成〔指定医に記入を依頼する書類・臨床調査個人票(診断書)・患者が記入する書類(特定疾患医受給者症交付申請書兼同意書・住民票・世帯の所得を確認できる書類・健康保険証のコピー・医療保険の所得区分確認書類(同意書)〕→ ④保健所 申請受理 → ⓹審査会(都道府県) → ⓺承認 受給者証の交付 

*⓸の受理された受領日から医療費の助成対象となります。交付され証書が届くまで立て替え払いした医療費は高額療養費まで償還払いされます。


●IBD治療で大切な3つの寛解  目標

①臨床的(症状なく過ごせる)→ ②内視鏡的寛解(構造的寛解・病変を治った状態にする:粘膜治療) → ③機能的寛解(自由に食事ができる)

(札幌厚生病院 副院長 IBDセンター長 本谷医師)




★潰瘍性大腸炎患者の7割は軽症

症状からみる患者の7割は軽症で、入院をする重症例は数パーセント

【重症度分類】

軽症:排便回数 1日4回以下   中等症:重症と軽症の中間  重症:1日6回以上・発熱37.5℃以上・脈拍90/分以上・ヘモグロビン10g1/dl以下など







⚪︎活動コミュニティ

TWO

creation /imagination/innovation 社会課題をcreationで紐解くaction

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